抑うつを経験し克服した私が語る、回復するための方法

うつ

近年、「うつ」「抑うつ」という言葉をよく耳にするようになってきました。

これらが精神的な病気であるということは知られていますが、実際にどんな症状が出るのか、また「うつ(鬱)」と「抑うつ(抑鬱)」の違いはなんなのか、といったところは、あまりご存じない方も多いのではないでしょうか。

また、うつや抑うつに関する知識がないために、本当はこれらを患っているのにそれに気づかず、無理して仕事を頑張ってしまい、悪化させてしまっている方もいるかもしれません。

今回は、私が以前患った「抑うつ」の経験をもとに、その症状や、どうやって対処すればいいのかなどについてお話していこうと思います。

そもそも「うつ病」と「抑うつ状態」って何が違うの?

簡単な言い方をすると、「抑うつ状態」が、もう少し進んで悪化したのが「うつ病」です。

「抑うつ」というのは、ストレスや身体的な原因で気分が落ち込み、生活するためのエネルギーが不足してしまい、そのために心身に不調をきたしている状態のことです。

そして「うつ病」は、抑うつの程度が強く、その期間が長期化している場合のことを指します。

抑うつ状態やうつ病の症状は、挙げればきりがありませんが、私が経験したのは、強い倦怠感に加え、食欲不振、吐き気やめまい、頭痛、そして強い耳鳴り、幻聴もありました。

私が抑うつ状態になったわけ

よく、人間関係のストレスなどが原因で抑うつ状態になってしまう方もいますが、私の場合はそうではなく、身体的なことが原因でした。

抑うつ状態になる前、ある病気(身体的なもの)にかかってしまい、その病気は痛みを伴うものだったので、長く続く痛みに徐々にストレスを感じるようになりました。
痛みはそこまでひどくなく、我慢できる程度の痛みなのですが、勉強をするときや趣味に取り組むときなど、何かに集中したくても常に痛みを感じて集中できず、それもかなりストレスになっていました。

最初は、「なんかストレスだなあ」くらいの気持ちだったのですが、だんだん気分の落ち込みがひどくなってきて、食欲もなくなり、何をしても「楽しい」と感じることがなくなってきました。

どんな症状が出たか

最初は、気分が落ち込み、食欲がなくなるところから始まりました。

しばらく経つと、朝食を少ししか食べていないのに直後に嘔吐してしまったり、幻聴が聞こえたりしました。
そして常に倦怠感を感じて「動きたくない」と思うようになり、「辛い」という気持ちがどんどん強くなっていきました。

幻聴は、人の声でした。
誰の声かはよく分からず、知らない人の声のようなのですが、聞こえてくる内容は、非常にはっきりとしているのです。
声の内容は、あまり思い出したくはありませんが、いつも自分のことを誰かが責めているような言葉でした。
はじめは一日に1~2回聞こえるだけだったのですが、徐々に回数が増し、一日中、ほぼ常に聞こえる、というところにまでなってしまいました。

心療内科へ

幻聴がほぼ一日中聞こえるようになってきたころ、このままでは自分がどうにかなってしまうと思い、そのことを両親に打ち明けました。
(それまでは、少し体調が悪いことは両親も知っていましたが、「幻聴が聞こえる」ということは伝えていませんでした。)

両親は、ひとまず家のすぐ近くにある内科に行き、適切な病院を紹介してもらうように勧めてくれました。

内科に行くと、心療内科をいくつか紹介してもらうことができ、私はその中の一つに行きました。

病院に行くと、症状に関するいくつかの質問に答えるシート(アンケートのようなもの)が渡されました。
今でも鮮明に覚えているのですが、このシートに記入していくうちに、「自分は病気なんだ」ということをはっきりと自覚し、それと同時に、少しだけ重荷から解放された気がしました。
というのも、それまでは、「倦怠感がひどくて動けないのは自分が怠け者だからなんじゃないだろうか」とか、「幻聴なんて気のせいで、本当はそんなものないんじゃないか」などの考えが常にあったからです。
しかし、質問シートには、倦怠感や幻聴に関する質問項目もあり、それを見た私は、「これは病気の症状なんだ」と自覚し、自分が悪いわけではないこと、そして幻聴も気のせいではないんだ、と理解することができました。

診察室では、日常生活のことや心の状態のことを色々と聞かれ、私はありのままに答えました。
すると先生は薬を何種類か出してくれて、「よくなると思いますよ」と言って送り出してくれました。
その時私は正直心の中で、「こんなにつらいのに簡単に『よくなる』とか言わないで。これからもどうせ辛いのが続くに決まっている」と思ってしまいました。

しかし私の予想は良い意味で裏切られ、先生の言葉はすぐに的中するのです。

服薬、そして回復へ

処方されたのは、レクサプロ、エビリファイ、サインバルタ、スルピリドなどで、どれも抑うつに効くとされている薬でした。

「心に薬なんて効くんだろうか」と半信半疑だった私ですが、薬の効果は驚くべきものでした。
なんと薬を飲んで1週間後には、幻聴がほぼ全く聞こえなくなったのです。
完全に聞こえなくなったわけではありませんが、たまにかすかに聞こえる、という程度になりました。
(完全に聞こえなくなったのは3か月後くらいでした)

倦怠感やめまい、食欲不振はしばらく続きましたが、私にとって、気が滅入る一番の原因だった「幻聴」がなくなったのは、大変ありがたいことでした。

すべての症状が回復するのには少し時間がかかりました。

病院に通い始めて半年くらいたったころ、久しぶりに映画で感動して泣きました。
抑うつ状態の間、映画を見る気にもならず、「何かに感動する」ということもありませんでした。
また、「楽しい」と感じることもしばらくなかったのですが、徐々に趣味を楽しめるようになりました。

うつは治ります

うつは治ります。

しかし、放っておいて治る、というわけではありません。むしろ悪化してしまいます。
私も、「うつ病」まではいかなかったものの、すでに述べた遠り、一日中幻聴が聞こえるくらいには抑うつ状態が悪化してしまいました。
もっと早い段階で病院に行っていれば、あんなにつらい思いをしなくても済んだかもしれません。

今これを読んでいる方の中には、毎日憂鬱な思いや倦怠感を抱えている方、もしくは私のように、幻聴が聞こえてしまうという方もいらっしゃるかもしれません。
一日だけ憂鬱な日があったとか、一回だけ幻聴が聞こえたような気がしたとか、そのくらいなら心配ないとは思いますが、そのような状態が何日にもわたって続いているような場合は、心の病にかかってしまっている可能性があります。

私は、両親に勇気をもって症状を打ち明け、病院に行ったことで回復しました。
そういう判断ができて、本当に良かったと思っています。

ですから、今辛い思いをしている方は、どうかそのことを信頼できる人に伝え、病院に行ってください。

また、病院では、できるだけ、あなたの状態を包み隠さず、医師の先生に伝えることをお勧めします。
先生は無理に聞き出そうとはしないかもしれませんが、あなたが言ったちょっとしたことが、判断の材料になることもあるでしょう。

先生にすべてを話し、「治る」ということを信じて治療に専念すれば、きっと元通り、元気に過ごせる日が来るはずです。

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