唐の名君太宗(李世民)のリーダーシップに学ぶ

貞観政要

世界史を学んでる、あるいはかつて学んだ皆さんにとって、唐の二代皇帝太宗(李世民)と聞くと、どんなイメージが浮かぶでしょうか。

お恥ずかしい話ですが、私は大学受験で世界史を選択したにもかかわらず、「太宗」と聞いても、どんな人物だったか全然思い出せませんでした。
「太宗??えーっと、中国のどっかの時代の皇帝だよね。隋だっけ?あれ、違うか。というか太宗って何人かいた気がするけど全然覚えてない。。。何した人だっけ?」みたいなレベルだったのです。
「玄武門の変」とか「貞観の治」とか、全く出てこなかったですね笑(笑えない)

大学受験どころか、教養というか常識の無さ。。。

 

しかし最近、中国の古典が現代ビジネスに役立つということを耳にして、古代の東洋思想などに関する本に興味を持ち、よく読むようになりました。

 

とくに、長きにわたる唐の政権の基盤を築いた太宗は名君と呼ばれており、その周りにも賢い臣下たちが仕えていたとか。
この太宗に関して勉強して役に立たないはずがない、と思い(途方もなく単純な発想ですね)、さっそくほこりをかぶった世界史の参考書を引っ張り出してきて太宗について復習するとともに、太宗の政治や名臣たちとのやり取りが記された『貞観政要』など読み、太宗がいかに国家の安定に努め、そのために学問や臣下の扱いにことのほか気を配っていたかについて学びました。

今回は、その唐代の名君太宗について、私が学んだことを共有させていただきたいと思います。

また、現代社会と学問について、私が考えたことなどもお伝えしたいと思います。

太宗(李世民)とその名臣たち

太宗は、クーデターによって皇帝になったものの、即位後は優れたリーダーシップを発揮し、国の基盤を固めます。

『貞観政要』を読むと、太宗がいかに君主として優れていたかが分かります。

「優れていた」といっても、決して間違いを犯さず、いつも適切な判断をしていた、というわけではありません。
太宗の過ちと、それを諫める忠実な臣下のやり取りまでも、しっかりと記されているのが、『貞観政要』の良いところだと私は思います。

自ら学問に励んで教養を身につけ、己を磨きながらも、常に臣下の意見に耳を傾けて判断材料とし、時には耳の痛い話もしっかりと受け入れる。
君主のあるべき姿がそこに見てとれます。

『貞観政要』に表れる太宗の君主としての考え

『貞観政要』からは、太宗の、君主としての様々な考えが読みとれますが、以下はそのほんの一部です。

これをご覧になって、この本に皆さんが少しでも興味を持って下されば嬉しいです。

学問や教養を重んじる

太宗は、父(高祖)を助けて若いころから活躍しましたが、当初は「武力」によって様々な勢力を平定していきました。

しかし、いつまでもそのように武力で民を押さえつけたのではなく、徐々に学問や教養を重んじるようになり、自らも大いに勉学に励みます。

夜遅くまで、四書五経(『大学』『中庸』『論語』『孟子』)などを題材に、臣下たちと熱く議論を交わしていたというのは有名な話です。

国家の安泰のためには、賢明な臣下の諫言が大切

いくら名君といわれた太宗でも、全知全能ではありませんから、ときには間違った方向に進みそうになってしまうこともあったでしょう。
そんな時には、臆せず「諫言」(非を諫めること)してほしい、と太宗は臣下たちに言っていました。
ここに、君主としての太宗の度量がうかがえますね。

君主ですから、「自分の言うことは絶対だ」と言うこともできます。
しかし、そんな君主が治める国家は安泰ではないでしょう。

これは、いつの時代でも、どんな組織でも言えることだと思います。

トップが広く意見を聞き、間違いだと思ったことははっきり違うと誰もが言える環境が無ければ、健全な体制とはいえないでしょう。

実際太宗の下では、魏徴などの名臣たちが、太宗に度々「諫言」をして間違いを正したことが、『貞観政要』にも記されています。

いわゆる「お勉強」は、社会では役に立たないのか??

中国の古典を学ぶようになって、「勉強」と「社会で必要とされる能力」の関係について、考えることが多くなりました。

現代の学校教育では、移り行く社会の中で生き抜いていくための能力を子どもにつけさせることができていない、学校教育は世間に出ても役に立たない、という主張をよく耳にします。
「勉強ができる頭の良さと、仕事ができる頭の良さって、まったく別物だよね」という意見も多いですね。

私も、以前はそのように考えていました。
「ベクトルとか積分とか、社会に出ていつ使うわけ?」「暗記めんど。マルクス・アウレリウス・アントニヌスとか何?こんな長いもん覚えていつ役に立つの」みたいなことばかり考えていました。
まあそれでも、勉強すること自体は好きだったので(丸暗記は嫌いでしたが)、好きな分野についてはそれなりに勉強していたのですが、「勉強なんてしても社会に出たら役に立たないし、ただの趣味で終わるんだろうな」と考えていました。

 

しかし、歴史を深く学んでいくうち、徐々にその考えは改まっていきました。

古代の国のトップ(王や皇帝など)は、こぞって世継ぎである息子たちに、勉学を勧めているではありませんか。
中国でも、王族たちは、『小学』『大学』『中庸』など儒学の書物のほか、歴史や哲学など、幅広く学ぶ必要があったそうです。

意味もないのに、こんなに学問をさせるでしょうか。
国を動かす(組織を動かす)うえで、勉学が必要だと考えるからこそ、子息たちに学問を学ばせるのではないでしょうか。

そのようなことを考えているうち、「丸暗記は意味なし、という考えは変わらないけれど、いわゆる『お勉強』も、案外役に立つこともあるんじゃないだろうか」と思うようになりました。

実際、中国の古い書物を学んでいると、「確かにトップに立つ人はこういうことを心がけなくてはいけないな」「部下は、こんなことをしちゃいけないな」というように、現代の企業などの組織に当てはめて考えられることが山ほどあります。

中には「当たり前でしょ」と思ってしまうような内容もありますが、「当たり前」をきちんとできなくなってしまった時、組織は徐々に蝕まれ、崩壊に向かってしまう、というのは歴史をみても明らかですし、現代の組織でも言えることだと思います。

 

また、数学では、確かに「ベクトル」や「積分」は、社会で誰もが使うというわけではありませんが、数学を学ぶことで、論理的思考力や、柔軟な発想力が身につきます。
私は、中学受験の時、この「発想力がどんどん磨かれていく」という感覚が本当に楽しくて、算数の問題集にのめりこんでいった覚えがあります。
特に、「解答」とは違う解き方をして、先生に「その考え方も正しいよ」と言ってもらえるとすごく嬉しかったのを今でも覚えています。
算数という「勉強」を通して、物事には様々なアプローチがあるということを、感覚的に学び取ることができたと思います。

 

このように、学校や受験の「お勉強」は、社会にでて役に立たないどころか、この複雑な世の中を行きぬいていくうえで、大いに力になってくれるものと考えています。

そのような意識のもと、これからも勉学に励んでいきたいと思います。

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